2024年問題の対策で一番重要なこと。【EC事業担当者様向け】

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そろそろ知っておきたい2024年問題とは

2024年問題とは、働き方改革関連法の施行に伴い、2024年4月1日から自動車運転職の年間残業時間が最大960時間に制限されることにより生じる様々な問題を指します。

本記事では、主にEC事業者目線で2024年問題の理解促進と具体的な施策への考え方に関して重要なポイントを掲載いたします。

2024年問題は、単純に説明すると

「トラックドライバーさんの労働時間が今まで多すぎたので、働く時間を制限します。」

ということです。

実際に全国のトラック・トレーラーを所有して配送業を営む企業の約3~4割が今回の法改正における規定時間を超えて就業している実態が明らかになっており、その影響は多岐にわたります。

■影響はドライバーだけではなく、運送業者、EC事業者、消費者まで

ドライバーさんへの影響として、労働時間が制限されるため収入に影響してきます。離職への加速にもつながってしまいます。

運送業を営む企業においても、ドライバーの労働時間を削減していくことで、物理的な配送量の減少による売上減少が考えられますし、コンパクト化を余儀なくされるケースも多く、倒産リスクの増加にもつながります。

EC事業者、荷主にとっては、先述した配送業者からの運送料の見直し(値上げ)や配達エリア、リードタイムの見直しを提出された際、物流コストの上昇だけでなく、店舗の配送品質に影響がでます。すると品物の購買率にも直接影響があるでしょう。

私たち消費者への影響としては、配送料の負担増が考えられます。また、今まで当たり前に届いていた日数で、荷物が届かなくなる可能性もでてきます。

このように、2024年問題は、市場を取り巻く全ファクターにおいて様々な影響を及ぼす大変重要な課題なのです。

■2024年問題への対策は調べれば山のようにでてきます

現在は様々な対策情報があふれかえっておりますので「EC 2024年問題 対策」と検索すれば、対策案を探すのには苦労しないでしょう。

まず目につくのは、配送料金の再設定です。送料の値上げに関してはEC事業責任者にとっては最も頭を悩ます問題ともいえるでしょう。それだけ消費者が送料無料文化に慣れてしまっている、もしくは昨今の景気不安定さにより節約志向に陥っているユーザーが多いという現実があるからです。

次に対策としては配送オプションの見直しです。指定日を指定しなければそもそも販売しないという思い切った事例も、最近は目にするようになりました。

また、7営業日中など、余裕をもった「おまかせ」的な配送パターンをつくり、消費者側へ選択をさせることで、送料を格安にする(もしくはサービスする)という例も散見されるようになりました。

また、荷物の受け取り方の選択肢の拡大も、「置き配」をはじめ、非常に多くの事例をみることができます。全国に実店舗を持っている企業が有利な側面もでてくることが予測されます。

そして、バックヤードでは、配送業者に渡しする際の荷待ち時間の短縮も求められていますが、積み荷の積載効率を上げるためには丁寧に積み込みをしなければなりません。

受注作業や発送作業の効率化のためにシステム導入をする企業も増えてきています。このような投資をする場合は、地方自治体や国の補助金などに頼るケースも多いと感じています。

加えて昨今、倉庫・配送業務の委託も検討する企業様が増えています。

ただし、これに関しては自らのステークホルダーの一部を完全に外部に委託することになりますから慎重に考慮すべき対策と言えます。

■コストばかり増える状況に大きな懸念

何かシステムを導入するにはやはりコスト増は回避できません。コストを捻出するために商品の値上げを検討しなければならないかもしれません。しかし、物価高などの理由により商品価格において値上げを実施したばかりのタイミングで、さらに値上げを実施するのも踏みとどまる担当者様も多いのではないでしょうか。

今年2023年は各種業界に対して2024年問題に対応するための商品・サービスが数多く発表・提供されております。法改正が実施されるのが近づくにつれ、やはり何かしらの対応を取る必要がある、そう懸念されていらっしゃる方も多いと予測しております。

しかし中小企業EC事業者様においては、ヒューマンリソースの課題、販管費・販促費のコスト増という恒常的な課題の他に、特にここ2,3年内では突発的な市場変動に対しての潜在的な課題が発生し、様々なコストが増えている傾向にあります。

実際に3年前に急に訪れた新型コロナウィルスによる対応だったり、働き方改革への対応であったり、Amazon、Rakutenなどモールプラットフォームの度重なるルール変更への対応であったり、自社の都合によるものではない突発的な金銭的、人的コストが膨らんでいると実感している企業様は多いようです。

■「安くて早いほうがいい」消費者の意識はそう簡単に変わらない

2024年問題が騒がれ始めてから数年が経ち、いよいよ来年の4月1日から法改正が実施されますが、消費者側の意識はそう簡単には変わりません。むしろ早く届けてほしい、送料を抑えたい、お得にお買い物をしたいというお買い物感情は強くなるのではと思います。

その理由に、2024年4月以降も、大手ECプラットフォームにおいてAmazonのプライム、楽天市場の配送品質向上制度、Yahoo!ショッピングの優良配送が無くなるわけではありません。

従って、深刻な状況であっても、全国のECサイトで1万円以上お買い上げで送料無料というサービスや、翌日配送などの便利なサービス自体が見直されるかというと、今までの市場をみるかぎり我々は懐疑的です。少なくとも2024年中は「様子見」の企業様が多いのではないかと推測しています。

「EC 2024年問題 対策」と検索された方は、本当は実施したくないが、仕方なくやるしかない内容が多く目についたのではないでしょうか。売上に影響してしまいかねないと懸念すればするほど、不本意な施策を実行に移してしまうEC事業者様は全国に多く増えると予想しています。

■今こそ重要視すべきブランディング

2024年問題に対応していくために、私たちが最も提唱したいポイントはまさにブランディングです。「自分達の商品を通して実現したいこと」を明確にして消費者に伝え、理解してもらうことにリソース・コストを投下し続けることをお勧めしています。

その理由として、あなたのブランドが目指すべき姿や実現したいシーンに共感を示していただいた顧客であれば、送料無料にしなくても、割引をしなくても購入いただけるはずだということです。恋愛と同じようなもので、あなたのお店や商品のことが好きであれば、多少の配送リードタイムをいただいても何のクレームも発生しません。そうなれば、配送業者様へはゆっくり丁寧に配送してくださいと伝えることができます。それが巡っては顧客満足度の向上につながるのです。

ここで注意していただきたいのは「私たちの商品は品質が良いです、日本製です、まごころこめて作っています。安全です、安心です。」といったありきたりの内容では到底、理想的な結果を得られることはできないということも念頭においてください。それらは、あなたのブランドでなければならない理由(あなたのお店で買う理由)には、なりづらいのです。

アド・セイルのイーコマースソリューション部では、日々スタッフがマーケッターとして市場の現状を整理し、クライアント様への最適な戦略や施策をご提案し、伴走させていただいております。
それとともにクライアント様とお客様にとって何が大切であるかを整理し、取り組むべき施策の優先度をお伝えしております。

顧客にあなたのブランドの(コンセプトの)共通イメージを形成していただき、お客様側の感情としては「共感した」であるとか、「応援したい」といった感情をもっていただくために必要なことを取り組み、顧客へ発信していきましょう。

2024年問題のような大きな問題はこの先もまた発生するはずです。そのような将来がきたとしても、あなたのブランドに対して共通理解を示していただいた顧客が多ければ、様々な課題をクリアしやすくなるのです。これを機に1度自社の(商品・サービスの)ブランディングに関して1度社内で話し合ってみてはいかがでしょうか。


この記事を書いた人

ECチームスタッフ

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