RESASのデータで香川県の宿泊者数を分析してみた

BIツール, DX, データドリブン, データ活用

RESAS(リーサス)とは

地域経済分析システムのRESAS(リーサス)は、産業構造や人口動態、人の流れなどの官民ビッグデータが集約していて、そのデータを可視化することができるシステムです。

新型コロナウイルス感染症 [COVID-19] が、地域経済に与える影響の把握及び地域再活性化施策の検討におけるデータの活用を目的としたV-RESASというのも存在します。

「データに基づいて地域づくりを考える」ということで地方自治体を情報面で支援を目的に作られたシステムなんですが、自治体の職員に限らず、誰でも利用することが可能な素晴らしいものです。

可視化する機能も備わっていて、なかなか良くできたシステムではありますが、他県との比較したり掘り下げて可視化したい場合には機能不足な面があることは否めません。
加えて、常に最新のデータがあるわけではないので、RESASについては長期的なトレンドや地域の特性を把握するのに利用するのが良いと思います。

RESASには、人口、地域経済循環、産業構造など多種のデータがありますが、その中から今回は香川県の観光について、宿泊者数に焦点を絞ってデータをみてみます。
RESASで香川県の日本人の延べ宿泊者数を表示したものが以下の図です。

このデータから、香川県の日本人宿泊者数の推移と2019年は2018年より増加している点については良いと判断することができます。
データから良い悪いを判断するためには比較対象であったり判断基準が必要です。

もし、2019年のデータだけしかない場合を想像してください。棒グラフが2019年の1本だけだったとしたら実績が分かるだけで「良い」かどうかの判断することはできないと思います。このことから、グラフから何か判断するためには比較対象が必要なことが分かると思います。

では次に、2019年の香川県の宿泊者数が「良い」というのは、前年より多いということだけなので、同じ四国の県を比較対象にして、どれくらい「良い」かを判断しています。

徳島県の延べ宿泊者数(日本人)の推移
愛媛県の延べ宿泊者数(日本人)の推移
高知県の延べ宿泊者数(日本人)の推移

徳島県と愛媛県は、香川県と同様に2019年は2018年より日本人の延べ宿泊者数が増加していましたので、香川県だけが特別良かったということはなさそうです。

ここで掲載したグラフから各県の傾向は分かるものの、RESASに備わっているビジュアライズ機能では1つのグラフに複数のエリアを表示することができないので、データをダウンロードして四国四県を比較したグラフを作成します。

データのダウンロードは、RESASの画面右側に表示される「データをダウンロード」から行います。

RESASからダウンロードできるデータ

RESASからダウンロードできるデータには、例えば「年齢階層別人口移動」のデータのようにワイド型データのものもあります。ワイド型はExcelで表として目視する分には良いのですが、データ分析を行うのには適しておらず、分析の前にデータ整形の作業が必要になりますので注意が必要です。

「延べ宿泊者数」のデータは集計済みのデータで、合計値が入り交じっているため少しクセはありますが、データ整形せずとも使えるデータのフォーマットになっています。

RESASに備わっているビジュアライズ機能では、1県ずつしか表示できませんでしたが、ダウンロードしたデータには47都道府県のデータが入っているので以下のようなグラフを作成することが可能です。

香川県の単体のデータからは、前年より宿泊者数が伸びたということでしか「良い」と判断することができませんでしたが、四国四県を比較することで、2019年は香川県が四国の中でも最も宿泊者数が多かったことから「良い」と判断することができます。
他にも2018年までは愛媛県が四国の中で最も宿泊者数が多かったのが、2019年に香川県が大きく伸びて1位になっているといった新たな気づきも出ます。

何を判断基準にするかということでは、宿泊者数だけでなく、前年比成長率で判断する方法もあります。

2019年の前年比成長率を見ると香川県は15.09%の増加ということで「良い」と判断することができます。他の県については、徳島県は宿泊者数自体は、香川県や愛媛県より少ないものの前年比成長率15.4%と四国四件の中で最も高い数値で「良い」という判断することができますし、高知県は3県がプラスの中で1県だけ前年比マイナスということから何か課題があることが分かります。

香川県の宿泊者数の傾向については、2018年、2019年と2年連続で前年比成長率がプラスということで、宿泊者数が増加傾向にあることが分かります。

もう少しデータを深堀りして、2019年の宿泊施設タイプ別の数値を見てみます。

香川県はリゾートホテルと簡易宿所の数値が他県よりかなり高いということが分かります。

RESASの可視化機能で宿泊施設タイプ別の数値を見ることはできますが、上記のように県同士を比較した表示にすることはできないため、RESASだけでは特徴を見逃してしまってもおかしくはありません。

RESASに備わっている機能で現状を把握することは可能ですが、この中で何度も述べていますが、良いかどうかを判断したり、特徴を掴むためには比較対象をグラフの中に入れることがポイントとなりますので、分析を試みる方は何と比較するか意識するようにしましょう。

今回は、比較対象として他県を設定しましたが、それ以外にも宿泊者数の目標数値を比較対象として目標達成度合いから判断するというのも良いと思います。

データ活用の第一歩として、まずは現状把握ということで分析・ビジュアライズを行いました。ただ、データ活用の観点では不十分だったりします。実際にどういう打ち手に活かすかといったところまでを具体的にするところまでを行う必要があります。

データ分析が失敗に終わるケースは、この打ち手に活かせていないケースは少なくありません。とはいえ、どうやって打ち手に活かせばいいのか、どのようにデータを分析・ビジュアライズすればいいのか分からない方は多いと思いますので、そのような方は我々は支援していますので、お悩みの方はぜひご相談ください。

ちなみに、RESASからダウンロードしてきたデータのビジュアライズにはBIツールを利用しました。

ビジュアライズについては、Excelを使って行うのでも全然問題ありませんが、Excelでシートの中身をコピー&ペーストして、1つにまとめたシートを作成したり、セルを指定するなど、1つずつ手作業でやるのはなかなかの手間ですので、業務効率化の点からはBIツールを使って作業工数を削減することをオススメします。

この記事を書いた人

宮崎 夏樹 データコンサルティング部 部長
***
効率的に業務作業行うにはBIツールがだんぜん楽ですよ。

関連記事一覧