Cookie規制という言葉を聞いたことがありますか?

Web広告, データ活用, マーケティング

リターゲティングができなくなる?Cookie(クッキー)規制をざっくりとまとめてみました。

Cookie規制という言葉を聞いたことがありますか?

いろいろなメディアで取り上げられているので、
「リターゲティングができなくなる」
「Cookieも個人情報に近いものとして扱われる」などのイメージをお持ちの方は多いかと思います。

各種メディアで専門的な用語を用いて詳しい説明がなされているので、弊社ブログではあまりデジタル技術・アドテクノロジーに詳しくない方が概念的に理解いただけるように、専門用語をできるだけ使わずにご説明したいと思います。

Cookieとは何か?

パソコンやスマホでいろいろなサイトを見た際に、我々(正確には使っている端末のブラウザ)にはハンコを押されていると思ってください。
スタンプラリーのように、サイト訪問の度に「Aサイト訪問済み」「Bサイト訪問済み」という感じで、我々はハンコを押されています。
サイト訪問をしたという情報以外にも、「会員サイトにログインしたことがある」「お気に入りに登録した」というようなメモ的な情報も一緒に記録されています。

情報が貼り付けられているからこそ、サイトを離れたあとに再度同じサイトを訪問した際に「前に来て〇〇をお気に入りに入れた人ね」ということがわかるのです。

なぜCookieを規制するのか?

上記のとおり、Cookieは企業にとってもユーザーにとっても便利な場合が多いのです。

過去Aサイトに来た事がある人かどうか、どのような行動をした人か」という情報をAサイトで活用することは問題ありません。
問題は、Aサイトに訪問したことがあるという情報を、別のサイトを閲覧しているときにも利用されているということです。(サードパーティーCookieの活用といわれます。)

広告などの技術では、我々に押されたハンコをもとに「この人は不動産サイトに訪問しているから、物件を探している人だ」というような興味関心の特定や、「過去にAサイトに訪問したことがあるからBサイトを訪問したときにAサイトの商品に関する広告を表示する」というようなリターゲティング広告の配信を行ってきました。

日常の様々なことをスマホで検索したり調べたりしていくなかで、我々には膨大な量のハンコが押されているわけで、ハンコ情報を組み合わせると「30代・男性・〇〇に興味あり」という人物像がかなり明確にわかります。これが「プライバシー侵害」にあたるのではないかと問題になっています。

Cookie規制とは具体的に何か?

Appleは先陣を切って、2017年以降プライバシー保護の観点からCookie情報の保持期間を短くするなどの対策を行ってきました。

また、ブラウザのCookieだけでなく、iPhoneにおいてはIDFAというスマホ端末の広告識別子もユーザーの許可なく利用できなくなりました。
この識別子を利用することでユーザーがどのようなアプリを利用しているかなどの情報をアプリを跨いで追跡できていましたが、今後ユーザーが自ら進んで情報を広告で利用することに許諾しなければ利用できなくなりました。

Googleも今後Google ChromeでサードパーティーCookieの利用を段階的に排除するという方針を打ち出しています。

ユーザーへの影響

リターゲティング広告で追いかけられることにストレスを感じていた人は、追いかけられることが少なくなって、よいかもしれません。

ただ、自分に関係ないと思われる広告が多く表示されるようになる可能性があります。

広告を出稿する企業への影響

今までのような細かいターゲティングが難しいケースが多くなります。
リターゲティングできる対象者が少なくなります。
自社の顧客になりうる可能性が高い人に絞って広告を配信するというのが技術的に難しくなります。

個人を追いかけるということができなくなるので、サイトに訪問した後、一度サイトを離れて再度別の方法で訪問されたときに獲得した場合の広告の効果測定が難しくなります。

代替策はあるか?

時代は変わってしまったので、以前とまったく同じことはできませんが、今後の方向性としては以下のようなことが考えられます。

①プラットフォーマーの情報をもとにしたターゲティング

Aサイトでのハンコ情報を「別サイト」に訪問しているときに活用するのがNGなので、Aサイトの中では活用可能です。

GoogleやFacebook、Yahooのような巨大なプラットフォームを持っているサービスは、検索情報や閲覧している記事情報・Youtubeの動画情報など、興味関心に関する情報を多数持っています。

GoogleはFLoCという、ユーザーグループに対して興味関心等の情報を付与し、広告に活用する技術を開発中です。このようなユーザーの興味関心にかかわる情報をたくさん持っている企業の広告を活用するということが1つの方法です。

②広告出稿するサイト・アプリを絞る

今までのデジタル広告は「人」の興味関心をもとにターゲティングしてあらゆるサイト・アプリなどに広告掲載する方法が主流でした。

ただ、今回の規制により、細かい「人」単位でのターゲティングが難しくなるため、信頼がおけて、自社サービスのターゲットが閲覧・利用すると思われる「サイト・アプリ」に絞って広告を配信するという手法をとることもできます。例えば、赤ちゃん向けおもちゃの企業が子育てに関するメディアに広告を出稿するという形です。

③クリエイティブで見込み顧客を選別

ターゲットは広く配信し、広告のコピーやクリエイティブで自社サービスを分かりやすく伝えるということが重要になってきます。

特に今後5Gが主流となっていく中で、動画広告は飛躍的に増加することが考えられます。細かいターゲティングをするのではなく、少しでも興味を持ってくれた方が動画を見てサービスやコンセプトをきちんと理解し、ブランドを好きになってもらえるようなクリエイティブを作れる会社が成果を生み出すと考えられます。

④自社データを用いた分析・既存顧客とのコミュニケーション強化

今までは、広告成果として、個人を追いかけて効果計測ができていました。

バナー広告をクリック→サイト訪問後一度離れる→1週間後やっぱり気になって、サービス名で検索→サービス申込。
という風に、広告接触から時間がたって申込に至った場合もバナー広告の成果として計測できていました。

しかし、今後、広告のシステムでは、個人のデジタル行動をサイトやアプリを跨いで追いかけられなくなるケースが多くなるため、上記のような場合にバナー広告の成果として計測できなくなります。つまり、広告主の方が広告代理店から報告を受けるレポートを見たときに獲得数として計上される数字が減っていく可能性があります。

実際の広告成果を見るためには、Google Analyticsなど自社サイトで収集したデータを用いて広告で訪問履歴がある方が実際にその後申込されている件数がどのくらいあるのかを、自社IDをベースにしてきちんと分析する必要があります。自社で保有するデータを整備して、プロモーション成果を計測したうえで、投資配分を検討すべきです。

また、広告だけに頼らず、SNSやメールなど既存顧客とつながれるコミュニケーションツールを拡充し、整備した自社データをもとに、各顧客に必要な情報を必要なタイミングで届けることで、既存顧客との関係をより強化していく必要があります。

今回は概念として理解いただくために、ややざっくりとした記載内容となっていることをご了承ください。

デジタル広告業界は大きな転換期を迎えています。

変化に対応して、より成果をあげられるよう弊社も努力してまいります。

この記事を書いた人

関 良子 デジタルプロモーション部 部長
デジタル広告って、技術についての知識も大事だけど、一番大事なのはお客さんの心に響くものとは何か・お客さんの感じている課題・悩みって何なのかを考えることだと改めて感じています。

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