ゲーム理論って面白い!

マーケティング, 雑記

ゲーム理論(ゲームりろん、英: game theory)とは、社会や自然における複数主体が関わる意思決定の問題や行動の相互依存的状況を数学的な数理モデルを用いて研究する学問

※Wikipedia参照

皆さんはゲームしますか?
私の子ども時代は主にSーパーMリオBラザーズばっかり、兄はDラゴンQエストばっかり。いろんなゲームを買ってくれない親だったので、あんまりバラエティ豊かなゲームにいそしめる環境ではなかったんですよね(笑)


■”じゃんけん”もゲーム

『最初はグー、じゃんけんぽんっ』(余談:筆者出身の大阪では、『いーんじゃーんでっほっいっ』と言ってました)は、日本人にとって一番身近なゲームなのではと思います。
身体の大小も人数も関係なく、誰もが勝者になる可能性があります。つまり、弱者でも強者に勝てるんですよね。
しかし、勝負には常用手段があります。ゲームに勝つには、勝つための勉強が必要です。
じゃんけんでは、相手が何を出してくるだろうと予測することでしょう。それに対して勝つ手を瞬時に出さなければいけません。相手が普段よくどの手を出しているかを覚えておき、ある程度予測を立てることは出来ます。
”直前はどの手を出した?” ”相手の性格では次は逆を突くのでは?” ”自分の手を何と予測しているだろう?”・・・
そうです、この瞬間【駆け引き】が発生しているのです。

ゲーム理論とは、「競争」と「協調」の折り合い点の見つけ方の中で、2人以上のプレイヤーの意思決定・行動を分析する理論で、
利害関係を持つ相手がいる状況で、自分と相手の利益を考え、最適な行動を決めるための思考法のことです。
仕事においても、このゲーム理論はあらゆるところで目にします。例えば、【上司と部下の人間関係】【企業間の競争】等、さらに政治家・国民の立場から見ると【政治の駆け引き】もそうです。
あらゆる問題をひとつの”ゲーム”として捉え、起こっている問題がどのような構造になっていて、どんなルールに支配されているかを考えるのです。
ゲーム理論から、【状況を正しく理解する力】【次の状況(未来)を予測する力】【状況を改善する問題解決力】の3つの力を学べます。


■国際問題におけるゲーム理論でよく取り上げられる【キューバ危機】

を例に挙げてみましょう。

キューバ危機とは
キューバ・ミサイル危機ともいう。1962年10月、ソ連のフルシチョフ首相がキューバに中距離核ミサイル基地の建設を図ったことに端を発する、冷戦史上最大の危機。アメリカによるキューバ侵攻作戦、カストロ政権転覆活動に危機感を強めたフルシチョフのねらいは、キューバの防衛とともに核戦力の均衡におけるソ連の劣勢の挽回にあった。しかし基地の完成前にアメリカが察知。ケネディ大統領はキューバの海上封鎖を発表し、ミサイル基地の撤去を要求した。アメリカの圧倒的な核戦力を前に、フルシチョフはケネディが内密に提示したトルコのアメリカ製中距離ミサイルの撤去を条件に要求を受諾、危機をようやく回避した。フルシチョフが求めたアメリカのキューバ不侵攻の約束は、ミサイル撤去に関する国連査察をカストロが拒否したことを理由に、ケネディは正式に与えることはなかった。キューバ危機をへて両首脳はホットラインの設置、部分的核実験禁止条約(PTBT)に合意し、米ソ「デタント」への歩みを確固たるものにした。

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冷戦時代、両国が何もしなければ、被害も利益もお互い”0”の状態です。しかし、ソ連がアメリカに攻撃を仕掛けたらどうなるか。ソ連に利益がもたらされ(例えば+10)、アメリカは損失を受け(例えば-10)、更にアメリカが反撃に出たら両国大損害を受ける(ソ連・アメリカ共に例えば-100)となります。いえ、全世界が-1000000・・・∞かもしれません。
アメリカ・ケネディ大統領が”ゲーム理論”を知っていたのか分かりませんが、彼は超強気の態度を示しました。イコール、お互いに大きな損失が出ることを知らせたのです。
自分に大きな損失が出ることを予想できるのに、その行動を突き通すことは誰もしませんよね。
ケネディ大統領は、ソ連が持ち込んだゲームを ”同時ゲーム” から ”交互ゲーム” にルール自体を変え、一触即発の状況から相手にボールを渡し考える時間を持たせました。

『へーそうだったのかー!』
単に歴史を学ぶだけではなく、こういった考え方の元に世の中は回っているんだと知ると、面白いですよね。いかに、有能なリーダーの意思決定が重要であるか、考えさせられました。

さて、とっても規模の大きな話になりましたので、話題を変えましょう。


■ゲーム理論で有名な【囚人のジレンマ】

をご存じでしょうか。

共同で犯罪を行った(と思われる)2人が捕まった。警官はこの2人の囚人に自白させるために、彼らの牢屋を順に訪れ、自白した場合などの司法取引について、以下の条件を伝えた。
・1人が自白し、もう一方が自白しない場合、自白した方は懲役1年・自白しない方は懲役15年
・2人共自白しない場合は懲役2年
・2人共自白した場合は懲役10年
***
ただし、
2人は双方に同じ条件が提示されていることを知っているものとする
2人は別室に隔離されていて、2人の間で強制力のある合意を形成できないものとする

このとき、囚人は共犯者と協調して黙秘すべきか、それとも共犯者を裏切って自白すべきか、板挟み(ジレンマ)状態に陥ります。
さて、あなたならどうしますか?

***

(考える時間をどうぞ~)

***

私は、あっけなく自白します(笑)
だって、どんなに共犯者を信じていたとしても、もしも裏切られたら自分だけ損するじゃないですか。それに、罪の意識にも囚われるでしょうし。
①お互い黙秘(私2年/共犯者2年)
②私は黙秘/共犯者は自白(私15年/共犯者1年)
③私は自白/共犯者は黙秘(私1年/共犯者15年)
④お互い自白(私10年/共犯者10年)
この4パターンのうち、最悪の15年の刑期を避けるためには、黙秘という”ばくち”を打つより、確実に10年以下になれる(もしかしたら1年になるかもしれない!?)方法を取ります。


人によって、この人は裏切れない!という場合や、黙秘し続けることで、刑期を終えてからなにかのメリットがあるといった、その他の条件があれば、また違った答えになると思います。
現代の複雑な多様化社会の中、人間賢くなればなるほど、ジレンマって多くなるんだろうなぁと感じました。


■ゲーム理論をブログで取り上げようと思った理由

最近よく通る道に焼肉屋さんがあります。しかも隣り合って2軒。
普通に考えたら、『いやいや、客取りあうっしょ。なんで離れて作らないの?』と思いますよね。
そう思う背景には、”きっとおいしい方に客が来るでしょ” だったり ”安い方が人気なんじゃ?” という考え方もあるのではないでしょうか。
実際に私も、どちらか潰れないか気になっていました。

ゲーム理論を知ったことで、『なるほど!こういう戦略なのか!』と思えたのでご紹介します。

■ホテリングゲーム

アメリカの経済学者・統計学者のハロルド・ホテリングは、1929年に発表した論文の中に「地理的立地」の問題を取り上げている
彼はこの問題の考察を通じて、「同じ商圏で全く同じ品質の同じ価格の製品を販売する2つの商店は、最終的に近接した場所に出店する」という「ホテリングの法則」を発見した

参照:https://keiei-manabu.com/game-theory/hotelling.html

あなたはかき氷屋さんです。
とある砂浜のきれいな海水浴場で、お店(A店)を開こうと思いました。けれどもライバルのかき氷屋さん(B店)も出店するとのこと。さあ、両者どこにお店出しますか?

条件)
商品の見栄えも値段もほぼ一緒とします
かき氷屋さんはA店B店の2店舗のみです
約100mの海岸のどこにお店を設置しても大丈夫です
海水浴客はほぼ均等に散らばっているものとします

選択肢)
①なんとなく均等になる感じの位置に出店
②お互い端っこに出店
③中央に隣り合う形で出店

***

(考える時間をどうぞ~)

***

どれを選びましたか?
実は、最終的に選ばれるのは③なんですよね。
①は店間50mのお客さんを取り合う形になります。片方が値下げをしたら、一気にそのお客さんは流れていってしまいます。
②は①の考えがさらに大きな問題となり、人気のない方に閑古鳥が鳴きます。
つまり、意外とお客さん取り合うんじゃないの?と思える③の隣同士の方が、一番取り合いが少ないという結果になります。

こういった状態を【ナッシュ均衡】といいます。
お互いが利害関係を重視するあまり、最も効率が良い選択ができず、両者とも合理的な選択だと思える立場で均衡が取れてしまっている状態のことです。

話を戻し、囚人のジレンマで言うと、④お互い自白(私10年/共犯者10年)がナッシュ均衡と言えます。
反対に、①お互い黙秘(私2年/共犯者2年)の状態を【パレート最適】といいます。この話はまた長くなるので、追々気が向いたら書きましょうかね。

■最後に

長くなりましたが、日常生活においても仕事においても、ゲーム理論は多くのシーンで目につきます。
一時の感情で決断するのではなく、こういった自分と相手方の利益や損失をシミュレーションした上で、継続的な関係を築いていくにはどんな選択が好ましいかを判断できることは、とても重要なことです。
興味のある方は色々調べてみて、自身のおかれた状況を打破するために、応用してみるのもいいかもしれません。
参考になりましたでしょうかね??

この記事を書いた人

野々目 千夏 デジタルプロモーション部 課長

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