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愛媛県 様

愛媛県 様

「データが何かをやってくれるわけではない。データを活用し政策判断できる人・文化を作る」

写真左:愛媛県デジタルシフト推進課 主任 泉 様
写真右:アド・セイル株式会社 取締役 近藤

 

愛媛県でのデジタルマーケティングへの取り組みについて教えてください。

泉様(以下敬称略):愛媛県庁の泉と申します。私は現在県庁のデジタルシフト推進課という部署で、文字通り県全体の事業のデジタル化の推進を行うという仕事をしております。

現在の部署で今年4年目になりまして、以前はせとうち観光推進機構という組織で、観光マーケティングを学んでおりました。
それがきっかけでデジタルマーケティングに触れ、マーケティングって楽しいんだなと感じ、デジタルシフト推進課への異動を希望しました。

愛媛県では、平成30年度に知事からデジタルマーケティングを進めるという方針が掲げられ、「プロモーション戦略室」という部署を立ち上げました。
1年目・2年目は行政としてデジタルマーケティングにどのように取り組んでいけるかという観点で、インバウンド・サイクリング・県産品などのデジタルマーケティングのモデルケースの構築に取り組み、3年目には「デジタル戦略室」に組織改編され、デジタルマーケティングにプラスしてデジタルトランスフォーメーションに取り組み範囲を広げ、様々な企画を行ってまいりました。

現在は「デジタルシフト推進課」として、全庁横断で横串をさしながらデジタル化施策の総合企画・総合調整を通じて、県民や職員のデジタルトランスフォーメーションの意識変化を進めていくという役割を担っています。
その中でも私はデジタルマーケティングの分野において、職員から施策実施の相談を受け、ターゲット・フレームワーク・KPIなどのアドバイスをしたり、仕様書の書き方を手伝うなど、様々なサポートに取り組んでいます。

アド・セイル:幅広く重大なミッションを担ってらっしゃいますね。

泉:知事も会見などでたびたびデジタルマーケティングが成果につながったと発言されるとおり、県への移住者や県産品販売額増加のため、デジタルマーケティングの活用が重要と考え、全庁で力を入れています。

 

 

アド・セイル:そのような取り組みの中でDMPが一つのキーワードになっているのでしょうか?

泉:令和2年度から愛媛県版DMPの構築に取り組んでおり、現在は愛媛県庁のサイト105サイトの情報を蓄積しています。県関連ホームページの訪問者のデータ(どこに住んでいる・性別・年齢のような属性情報)を蓄積しているところです。スモールスタートで始めてみて、成果が出るようであれば育てて行こうという形で開始し、当初は数サイトのみの接続でしたが、成果が確認出来たことから接続を広め、ここまで規模が大きくなりました。

弊社が携わる前の課題があれば教えてください。

泉:当時もデジタルマーケティングの外部アドバイザーを招聘して行政へのデジタルマーケティングの導入についてミーティングを実施していたものの、庁内のデジタルマーケティングの導入が進んだ段階で、例えばGoogle広告のMCCやFacebookのビジネスマネージャーの活用など、マーケティングツールの運用が必要な段階に入ったことから、技術的な面を含めてツールの運用や新しいサービスや技術革新の情報を、行政職員目線に寄り添って提案いただけるような仕組みが必要でした。

 

 

パートナーをアド・セイルに決めたポイントはありますか?

泉:公募時の仕様書はかなり難解な部分もあったかと思うのですが、アド・セイル様のご提案は愛媛県のやりたいことを現実的なレベルに落とし込んだ形であったことが決め手になりました。

アド・セイル:県のインバウンドサイトをGoogle Analyticsで現状の分析をして課題提案をしてほしいという内容でしたよね?

泉:成果物が明確にある事業であれば、どのようなものを作るか提案してもらうことが分かりやすいんですが、伴走支援業務はゴールがないので、サイトの分析を通じてきちんと行政に寄り添った提案ができる事業者なのかを審査して決定しました。

アド・セイル:我々もきちんと見ていただけるという手ごたえがありました。体制図でも、きちんとスキルを持った人材なのかというところが重視されており、我々は営業から分析・設定まで一貫してやっておりますので、要件を満たせてよかったです。

泉:我々が伴走する事業者に求めていたものは「広告運用が上手」なことではなく、行政職員に寄り添った対応ができることに加えて、「デジタルの上級資格やGoogleタグマネージャーの実績など網羅的なスキルをもっていること」であり、アド・セイルさんはその要件を全て満たしていたと思います。

 

 

アド・セイルを評価していただいている点を教えてください。

泉:折に触れて想定を超えるご提案をいただいていると感じています。
これは一例ですが、愛媛県のデジタルマーケティングのパーパスについて協議した際に『オンライン上の関係人口の獲得』というコンセプトを提案いただいて、県としてのビジョンがぱっと広がっていきましたね。

アド・セイル:本当にそう言っていただけて嬉しいです。
我々のご提供するサービス品質に関してはいかがでしょうか?

泉:非常に満足しています。また、週1回の定例会は設けていますが、チャットで随時質問に答えてもらって頂ける点も相談案件の多い我々としても非常にありがたいです。我々の問いに対して真摯に提案をしてくださったり、BIツールに関する漠然とした相談に対しても詳細な資料を作っていただいたり、毎回想像以上の提案をいただいています。

泉:愛媛県のデジタルへの取り組みも愛媛県版DMP→データの可視化→関係人口深化と徐々にステップアップしています。
平成30年に策定したデジタルマーケティング基本戦略ではDMP構築がゴールになっていましたが、さらにマーケティングの裾野を広げるため、一昨年からデータの可視化に取り組んでいます。

アド・セイル:移住促進の事業などで、広告の成果やホームページのアクセスがすぐに見られるようにして、課題があるところは深掘りできるようにしましたね。

泉:当初の理想は県職員全員がGoogleアナリティクスといったマーケティングツールを使えることですが、なかなか難しいと思っておりまして、アド・セイルさんと議論する中で、データの民主化、だれでもデータにアクセスし、判断できる状態を作るということが一つの答えと結論に至りました。具体的にどう進めるかの部分でアド・セイルさんに提案いただいて、庁内でワークショップを通じて職員にダッシュボードを作ってもらうなどの取り組みにより、実現に至っています。

アド・セイル:以前よりもダッシュボードを使う方は増えていますか?

泉:はい、以前よりも増えています。庁内でEBPM(データに基づく施策立案)が広まるうえで、根拠となるデータがないと悩まれている方に必要なデータを整備したダッシュボードを提案し、喜んでいただいたこともあります。
この3年間の取り組みを通じてデータを見る文化が浸透するとともに、行政職員のマーケティングのレベルも上がってきていると感じています。
当課ではデジタルマーケティングのよろず相談窓口を設けており、当初は年間数十件程度で内容もFacebookの展開方法といった簡単なものでしたが、年々相談の件数と質があがっており、事業のターゲット像をどう考えるべきか、KPIをどのように設定すべきか、広告の反応を改善するため事業者にどのように指示すべきかなどマーケティング課題が出てくるようになりました。
そのような課題に対して、アド・セイルさんがDockpitやDS.INSIGHTなどのツールを用いてデータを抽出して整備した状態でヒントをいただけるのが大変ありがたいと思っています。

 

 

データがあることで庁内で上申する際などに納得感につながったりなど、何か効果としてあらわれていることはありますか?

泉:一番は予算申請の際の内部説明ですね。今まで行政職員は過去の勘と経験で事業の意義や効果を説明してきましたが、そこに数字を加えて話すことで内部理解が進みやすいですね。
①イベントがあることを知ってもらわないといけない
②そのイベントを知ってもらうためには、ホームページにアクセスしてもらわないといけない
③ホームページにアクセスしてもらうためには、デジタル広告でそのホームページに誘導しないといけない
そういうロジックがあると考えたときに、ホームページのアクセス数と、来訪者数がある程度相関するということを実際にデータを示して話すことで、何故プロモーション予算が必要かの説明に納得感が生まれます。

アド・セイル:データでは最終的な成果が示しにくい部分もありますが、蓋然性が示せるものがあれば、庁内でのコミュニケーションもスムーズですね。

泉:また、いままでの行政はやりっぱなしの事業が多かったです。分厚いレポートを提出してもらっても次の年度の担当者はあまり読み込めておらず、1から事業がスタートすることがありました。
そういった行政職員の考え方も変わってきて、事業を実施する際に前年度のレポートを読み込んで、今年の事業者に対し、「昨年このようなことをやって、例えばこういうバナーの反応が良かった」という成果を伝えたうえで、これを超える成果を求めるというような話もできるようになってきました。職員の意識が変わることで事業の継続性がでてきています。

アド・セイル:KPIが年度でがらっと変わってしまうということもよくありますよね。

泉:KPIを何に設定するのもそうですが、元々は担当者の意識にも仕様書にもKPIがなかったものが、アド・セイルさんとの取り組みを通じてKPIを活用する重要性が広まったことで、職員自ら「KPIはサイト訪問者数 ○○ユーザーです」「このKGIに対して有効なKPIを提案してください」と仕様書に書いていただくことも増え、「実施するだけでなく成果を出す」という意識の変化が起こったことが良かったです。
また、事業の継続性という観点で、愛媛県版DMPをもとにリマーケティングをする手法を庁内で広めていましたが、Cookie規制などで難しくなってきました。その中でDMPの活用方法として昨年度反応がよかったターゲット像を分析→翌年度事業の仕様書にターゲット像を記載→ターゲット像をもとに成果を継承していくという活用を始めています。その際、個別事業のターゲット像はアド・セイルさんにDMPを分析して導き出していただいています。

アド・セイル:PDCAを回すにしても、事業内での蓄積がないと、昨年と同じことをやってしまう可能性がありますよね。前年の成果を継承することで、すでに負けパターンがわかっているものは外す、勝ちパターンを強化するなどできますよね。

 

 

取り組みを実施するにあたって苦労された点はありますか?

泉:おかげさまで相談件数が増えているのですが、相談内容が高度化しているという点が苦労しています。今はデジタルシフト推進課が庁内のインフラとして定着していますが、アド・セイルさんという伴走相手がいることがインフラ機能の秘訣です。

アド・セイル:相談件数が増えているということは実態として機能しているということで、素晴らしいですね。

 

 

アド・セイルへの今後の期待はありますか?

泉:今はデータを見る文化を醸成するというステージなんですが、来年以降、もう一つステップを上げてオンライン上の関係人口の構築や、関係人口の愛媛ファン化というところに取り組みたいと考えています。
まだ他の自治体ではチャレンジしているところが少ない領域だと思うので、アド・セイルさんには助言・提案など引き続き協力いただきたいです。

 

 

今後の取り組みとしてチャレンジしていきたいことは?

泉:現在は愛媛県庁内部を対象とした取り組みですが、市町や民間企業でもマーケティングの意識を持っていただけるような愛媛県全体での取り組みをしていきたいです。
実際に県とデジタルマーケティングに取り組む愛媛県内企業のリテラシーも上がってきた実感があり、愛媛県事業全体のボトムアップにもつながってきていると思います。
また、昨今注目されている生成AIもそうですが、データが何かをやってくれるわけではなく、ツールを導入すると課題が解決する訳でもありません。最後に政策判断するのは人間なので、そのために必要なデジタルマーケティングへの意識をもった人材を少しでも増やせるよう取り組んでいきたいです。

アド・セイル:データから何を採用するか、違和感を感じられるか?は、人間の持つ経験値が必要とされる部分だと思います。
デジタルトランスフォーメーションと言いますが、実際に職員の方の意識が変わってきているということをお聞きできて嬉しく思います。
引き続きよろしくお願いいたします。